カジキ釣りの基礎知識
カジキ釣り講座の本題に入る前に…
ビルフィッシュと呼ばれるカジキは、日本の海でも初夏から初秋にかけて沿岸からわずか2~3マイルの距離で釣れることもあります。しかしそのためにはボートに乗り込み、水温や水色などの状況を把握しながらカジキのいる場所を見つけなければなりません。また時には100kgを超える魚体が相手になりますので、ビッグゲームフィッシングを行なう場合には、頑強な道具としっかりとした準備( 知識 )が必要になります。
カジキ釣り用の道具は町の釣具屋さんで探してもなかなか見つかりません。では何処でとなるのですが、今や検索エンジンで『カジキ釣り』と入力すれば多くの情報が得られます。でも実際に海に出てやってみたいと思うなら、近くにあるボートショップやマリーナを訪ねてみてください。カジキ釣りの道具はもちろんですが、ボートオーナーやカジキ釣りを楽しむフィッシングクラブなどのさまざまな情報があります。「いきなりボートは買えないよ」という方でも、タイミングと熱意が合えばカジキ釣りのクルーとしてボートに乗り、実際にカジキ釣りを目の当たりに出来るチャンスもあります。
現在のカジキ釣りでは、IGFAのルールに則ったスポーツフィッシングとして行われることが多く、特に各地で開催されるビルフィッシュトーナメントではこのルールが厳格に適応されています。また参加者はこのルールを守り、適正なタックルや経験が豊富なメンバーを揃えて挑むので大きな事故がほとんどありませんが、準備が整っていない、あるいはクルーの少ない状況でカジキがヒットした場合は、ランディングを行うことは非常に危険であるということ覚えておいてください。(100kgを超える魚体のパワーはロッドやリールの破損はもちろん、アングラーやクルーの落水、また小型のカジキであってもビル(吻部)による負傷という危険性が常に潜んでいます)
そしてカジキ釣りはチームワークの釣りと言うことも忘れないでください。とかくアングラーばかりがクローズアップされるカジキ釣りですが、経験を積むほどキャプテンとの意思疎通やリーダーマン、ギャフマンとの連携がいかに重要であるかがわかります。特にアングラーが初心者の場合はキャプテンが的確な判断を行い、アングラーにカジキの動きや魚との距離などを伝えて冷静なファイトを促し、またリーダーマンやギャフマンに対しても状況にあわせた指示を行うことでよりスムーズなランディングが行えます。「老人と海」のサンチャゴ翁は1人でしたが、キャプテン、アングラー、リーダーマン、ギャフマンと最低4人でカジキ釣りを行うのが理想といえるでしょう。
最後に、カジキ釣りは紳士淑女のスポーツフィッシングです。JGFAやIGFAのルールはあくまでゲームフィッシングとしてのルールですが、海におけるマナーは、釣りをする・しないにかかわらずそれぞれの人に求めらます。漁業専従者の優先や禁漁区における保護、さらには港内スローなど。ボートフィッシングを行う場合は釣り人であると同時にひとりのシーマンとして良識のある行動を取りましょう。